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TATEBAYASHIクリエイションセンター 館林ファクトリー

PROJECT STORY

ブルドックソース株式会社様

PROJECT NAME

ブルドックソースグループ
TATEBAYASHIクリエイションセンター新設工事

INTRODUCTION

ブルドックソース株式会社様の主力製品を生産する館林工場において、
既存設備を稼働させたまま改修を行い、新たな生産ラインを立ち上げるという難易度が非常に高いプロジェクトが進められた。
複雑かつ高難度な現場を支えたのは、建築と設備の両面に通じた総合技術と、現場で積み重ねられた判断力、
そして何よりエンジニアたちの強い使命感と連携力であった。

PROJECT MEMBER

談笑する社員3名
#01 プロジェクト発足のきっかけ

プロジェクトの発端にあったのは、信頼の蓄積と現場力

本プロジェクトは、老朽化したブルドックソース株式会社様の鳩ヶ谷工場の閉鎖に伴い、館林工場に機能を集約するという顧客の大規模な構想から始まった。当初はキリンエンジニアリング以外の会社に依頼されていたが、基本計画の段階で、顧客が想い描いていた生産設備理解に基づく生産工場としての最適化や顧客コンセプトとの乖離が生まれ、このまま進めて良いか悩まれていた。その結果、基本設計の立て直しと仕切り直しを決断された。

話す男性社員

仕切り直しにあたり、キリンエンジニアリングに白羽の矢が立った。その背景には、キリンエンジニアリングの過去の信頼と実績がある。本プロジェクトは「第4期」と呼ばれるものであり、第1期~第3期においてはキリンエンジニアリングが深く関りを持ち、確かな成果を残していた。単なる建設会社ではなく、生産設備に精通し、顧客と同じ視点で課題に向き合う姿勢が高く評価されたのである。顧客が語った「つくってなんぼの世界で、要求仕様に対して必要な設備構成イメージがすぐに共有できる、ライン停止をどうやったら短くできるか、どうやったら予算内に納められるか…など、一緒に悩み、提案してくれるパートナーが必要だった」という言葉は、キリンエンジニアリングに求められた役割の本質を示している。設備と建築を切り離さず、工場全体をトータルで考える。それができる体制と思想が、他社との差別化につながった。

#02 プロジェクトにおける課題

複雑性と制約の極みに挑んだ、かつてない難工事

本プロジェクトにおける最大のミッションは、「既存設備の稼働を止めずに改修を行うこと」にあった。館林工場はブルドックソース株式会社様の主力製品を生産する国内唯一の拠点であり、生産を止めることは即ち市場への供給停止を意味する。顧客にとって、工場のライン停止は売場から自社製品が消えるリスクを孕んでおり、「棚落ち」すなわち「他社製品への切り替え」が現実的に起こりうる事態であった。そのため、通常なら4か月は必要だと見込んだ工事期間を、「1ヶ月間短縮してほしい」という厳しい要求が突きつけられた。工期の短縮、ライン停止期間の最小化、予算厳守、かつ品質の担保。この4つを同時に実現しなければならない、極めて難易度の高い制約条件下でのプロジェクト遂行が求められた。

話す男性社員

また、今回は既存建屋の大規模改修と新設建屋の建築という二軸の工事が同時並行で進められた。新設部分では工事の自由度がある一方、既存部分では「汚せない」「壊せない」「止められない」という制約が強く働いた。さらに、既存建物・設備のレイアウトやスペースはあらかじめ決まっており、そこに新たな設備を配置するには、ミリ単位での動線設計とレイアウトの工夫が必要である。さらには工程も複雑を極めた。鳩ヶ谷工場からの設備移設、新設設備の導入、既存設備の改修、そして各ラインの試運転。いわば、時間的・空間的・金銭的な制約が三位一体となって襲いかかる、非常に厳しいプロジェクトとなった。

#03 三位一体の制約条件に挑んだ、現場主導のアイデアと実行力

三位一体の制約条件に挑んだ、現場主導のアイデアと実行力

「工期を1ヶ月短縮してほしい」「予算は増やせない」「ラインは止められない」。この極めて厳しい条件を前に、キリンエンジニアリングのプロジェクトチームは全体最適の視点で打開策を模索した。焦点となったのは、レイアウトの工夫と、設備・建築双方に精通する総合力である。第一に注力したのは、限られたスペースへの合理的な配置である。既存建屋の改修においては、ミリ単位の動線設計が求められた。設備サイズも動線も、すでに「動かせない」制約がある中で、必要な設備群を安全かつ衛生的に配置するレイアウト案を構築した。これは現場で長年培った知見がなければ実現し得なかった。次に、工期短縮とコスト抑制に向けた工夫として、「建屋のグレード見直し」という提案を行った。従来、食品工場の建屋仕様には一定の常識が存在したが、キリンエンジニアリングは過去の事例や実績をもとに「このエリアはグレードを下げても問題ない」と顧客へ提案。これにより、過剰設計を排除し、施工範囲を絞り込むことで大幅な工期短縮とコスト削減につなげた。また、排水量が基本設計段階の想定量を上回ることが判明した際には、単なる設備増強ではなく運用面を含めた総合的な対応策を提案し、プロジェクトにおける全体工程・予算厳守に繋げる取り組みを行った。

話す女性社員

このような取り組みが可能だった背景には、「建築」「設備」両方を理解し、現場で即断即決できる人材が揃っていた点が挙げられる。各工程の調整も「ここは1日削れるのでは」、「同時作業が可能では」といった現場目線の判断により、複数の作業を同時進行させ、徹底した工程管理によって、限界ギリギリのスケジュールを現実のものにした。安西氏は、「やりながら“どこを止めて、どこを動かすか”を常に考えていた。工事が終わる頃には、次の試運転が始まっているような感覚だった」と話す。顧客から求められた「短工期・低予算・高品質」の三立は、決して容易なものではなかったはずだ。だが、それを実現し得たのは、豊富な知見と柔軟な発想、そして現場を預かる責任感と実行力が結集していたからに他ならない。

#04 プロジェクトを振り返って

すべてが稼働するその瞬間に向けて、それぞれの立場で挑み続けた日々

本プロジェクトの中で象徴的な出来事の一つが、ブルドックソースのボトル形状とラベル仕様の変更である。これにより、製造ライン全体の仕様見直しと大幅なレイアウト変更が不可避となり、既存レイアウトの大規模な対応が必要となった。館林工場創業当初より長年にわたって稼働しており、設備の一部は20年以上稼働しているため、老朽化も懸念事項の一つだった。こうした設備を移設しつつ、新ボトル対応の仕様に最適化するには、綿密な設計と移設に伴うリスクの洗出しとその対策が不可欠だった。加えて、鳩ヶ谷工場からの段階的な設備移設と新設設備の導入が重なり、工事・試運転・生産立ち上げが常に複層的に進行していた。

話す男性社員

一つの試運転が終われば、次のラインの工事がすぐに始まり、その準備が同時に進行していく。「毎月のように試運転があって大変でしたが、それが自信になりました。できることが少しずつ増えていって、“任せてもらえている”手応えを感じられるまでになりました」と話すのは藤原氏。若手エンジニアにとってはOJTの域をはるかに超える濃密な実践経験であり、マネジメント職にとっては想定を超える事象に即応する判断力と調整力が試される連続だったという。ここにいる全ての人間が常に一歩先を考えていた。だからこそ、すべてのラインを無事に立ち上げ、稼働させることができたその瞬間が、関係者全員にとってのハイライトだったと言える。

#05 そして次の挑戦へ

チームの総力がもたらした完遂、その先にある進化

3年に及ぶプロジェクトを通じて、キリンエンジニアリングが実現したのは、単なるラインの立ち上げや生産体制の再構築にとどまらない。顧客製品の市場供給を止めることなく移行させ、顧客の期待を上回る成果で完遂したことにある。「コスト内・工期内で仕上げていただき、ありがたかった」という顧客の声に代表されるように、本プロジェクトは様々な制約の中で着地を果たした。稼働を継続したまま改修し、ボトルとラベルの仕様の変更にも即応し、複層的な工程を安全かつ確実に遂行した事実は、社内外で高く評価された。感謝状という形でその功績が認められたことは、チーム全体の誇りである。鈴木氏は「お客様にとっても過去最大級のプロジェクトだった。無事に工期通り、予算内でやり切ることができて、本当にほっとした」と、当時の気持ちを振り返る。また、キリンエンジニアリング全体としても、今回のプロジェクトを通じて蓄積されたナレッジは、設計・施工・運用各段階における標準化・再現性向上にもつながっている。本案件が組織としての飛躍にも寄与していることは間違いない。彼らが積み重ねた実績と知見は、次世代のエンジニアリングを支える力となっていく。

笑顔の社員3名
協和キリン高崎工場の外観

協和キリン株式会社

協和キリン高崎工場の新棟建設プロジェクト。その先にあった成長と挑戦

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「おいしい」と「健康」をつくるチームだから叶う、その挑戦