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HB7棟

PROJECT STORY

協和キリン株式会社

PROJECT NAME

HB7棟建設工事

INTRODUCTION

難治性疾患の治療に新たな可能性をもたらす「バイオ医薬品」。
その研究開発・生産体制を強化するべく、協和キリン高崎工場にて新棟建設プロジェクトが始動した。
プロジェクトを担ったのは、キリンエンジニアリングのエンジニアたち。

限られた工期の中で、彼らは工程遅延や試運転トラブルといった数々の困難に直面しながらも、
冷静な判断と丁寧な調整で一つひとつ乗り越えていった。
社会的意義の大きな現場に向き合う中で育まれたのは、個々の成長と、組織の総合力。
それは、次なる挑戦への自信と意志へとつながっていく。

PROJECT MEMBER

  • 廣島 誠浩

    廣島 誠浩

    HIROSHIMA MASAHIRO

  • 魚井 悠紀

    魚井 悠紀

    UOI YUUKI

  • 永久保 宏法

    永久保 宏法

    NAGAKUBO HIRONORI

会議をする社員3名
#01 プロジェクト発足のきっかけ

社会的使命を背負って始動した、大型医薬プロジェクト

近年ますますバイオ医薬品の需要が高まりを見せる中、そのニーズに応えるべくして協和キリン高崎工場は新棟建設の大規模プロジェクトをスタートさせた。バイオ医薬品とは、従来型の医薬品では十分な効果が得られなかった疾患や、治療法がなかった疾患に対して高い治療効果が期待されている分野だ。

話す男性社員

「人の命に直結する施設をつくる」、その社会的意義の大きさは想像に難くない。プロジェクトマネージャーとしてアサインされた魚井氏は、当時をこう振り返る。「当初は少人数でのフィージビリティスタディ(事業可能性検討)からスタートしました。全体規模からすると非常に少ない人数でしたが、後から他のメンバーが順次合流してくることが決まっていたので、まずは自分たちの持ち場からしっかり整えることに集中しました」。2025年3月の完成を求められており、それは今回の医薬工場の規模から考えると非常に厳しい工期だったという。しかも、チームには医薬分野が初経験となるメンバーも含まれていた。その中の一人である廣島氏は、「新棟の立ち上げという重要な案件に初期から関われると聞き、非常に高揚しました。大きなプロジェクトではありましたが、むしろ楽しみの方が勝っていましたね」と語る。こうして、スケール・スピード・専門性のすべてが求められる本プロジェクトが始動した。

#02 プロジェクトにおける課題

大規模プロジェクトを揺るがす“医薬特有”の壁

プロジェクトが本格的に始動して間もなく、チームはある大きな壁に直面することとなった。それは、医薬品工場特有のルールに関する知見の不足である。参加メンバーは、飲料や食品工場などのプラント建設に携わってきたベテランと建設プロジェクトが初めてという若手で構成されており、医薬品分野における建設はこれが初めてというメンバーがほとんどであった。中でも課題として浮かび上がったのは、医薬品の製造管理および品質管理に関する国際基準「GMP(Good Manufacturing Practice)」に基づく品質管理や、医薬特有の設計・施工・検証プロセスに関する理解度の不足である。初期の段階では一見すると順調に見えた進捗だが、実際には品質基準の検証・証明を行う「バリデーション(Validation)」業務が個々人の知識不足から思うように進まず、工程に遅れが生じ始めていた。

話す男性社員3名

顧客からも厳しいフィードバックがあり、チームには計画の立て直しと説明責任が重くのしかかった。さらに別の課題も抱えていた。建築予定地から地中障害が見つかるという不測の事態から建築工事が遅れ、設備の搬入工事と建築工事を並行して進めざるを得なくなり、搬入ルートの確保や設備の納入タイミングの調整が複雑化した。「設備を入れたいが建物がまだ完成していない」、「設備の搬入ルートが確保できない」といったジレンマが、現場の頭を悩ませた。このように、専門領域に対する知識不足と、スケジュール調整の複雑化が重なり合うことで、プロジェクトは大きな岐路に立たされることとなった。30人規模に拡大したチームの中で、誰もが「このまま計画通りに進むだろうか」という危機感を抱くようになっていたのである。

#03 課題をどう乗り越えたか

危機感がチームを動かした──巻き返しの起点となった“役割の再定義”

バリデーション工程の遅れを取り戻す。そのためにチームが取った一手が「役割の再定義」であった。医薬品プロジェクトの経験が豊富なメンバーが教育・指導者となることで知識・ナレッジの共有を図り、停滞の連鎖を断ち切ろうとした。そのために新しく設置したポジションが“コーディネーター”だ。「当時、現場には医薬に精通した人が少なく、知識不足による判断のズレや伝達ミスが起こりやすい状況でした。そうした状況を打開するためには社内メンバーはもちろん、協力会社の教育が必要だと感じたんです」と語るのは、後にそのコーディネーターにアサインされた永久保氏だ。

話す男性社員

まずは、バリデーションの知識をチーム内で共有する体制づくりに着手した。医薬品分野が未経験のメンバーに対しては、教育プログラムを立案し実施した。理解度に応じて業務を分担し、教育や指導を受けた現場担当者が、自社に内容を持ち帰って社内で共有する。時には永久保氏が協力会社のオフィスに出向いて直接指導を行うこともあった。そのプロセスは時間と労力のかかる地道なものだったが、確実に現場の理解力と対応力を底上げしていった。同時に、設備搬入のタイミングを合わせるべく、建築チームとスケジュールの再構築を実施した。設備ごとに搬入順を再設計し、建築チームや協力会社の現場監督と密に連携しながら、柔軟なスケジュール調整を重ねていった。「お客様と弊社メンバーの登場人物が多く、それぞれのやるべきことと納期の調整は正直、困難でした。それでも絶対に予定通りに工事を終わらせると、腹を括ったのを覚えています」と魚井氏は振り返る。役割を定め直し、体制を組み直し、信頼と理解を積み重ねる。そのプロセスこそが、停滞から脱却する第一歩となったのである。

#04 プロジェクトを振り返って

困難の連続を支え続けた、揺るがぬ“現場の総合力”

立ちはだかる壁はそこで終わりかと思えばそうではなかった。試運転フェーズでは海外メーカー製の機器が思うように動作せず、通信エラーやシステム不良などのトラブルが発生した。こうした問題には、社内外の技術者と密に連携しながら、一つずつ原因を特定し、的確かつスピーディーに対応していった。永久保氏は「社内の詳しいメンバーやメーカーの担当者にもすぐに声をかけて、必要なときには現場まで来てもらいました。あのときは、調整というより“全員で問題を乗り越えていく”感覚でしたね」と語る。このプロジェクトにおける最大の特筆点は、次々と襲いかかる課題を一つずつクリアしながら、プロジェクトを推進させ続けた柔軟な調整力にある。医薬品という専門性の高い領域でありながら、チームはトラブルやイレギュラーに一つひとつ向き合い、最終的な完成にこぎつけた。

話す男性社員

そして、現場での“学び”も忘れられない出来事として残っている。廣島氏は初期の試運転中、電気配線に関するトラブルに直面したという。「協力会社が機器の配線を誤って接続してしまい、システムのタッチパネル表示に必要な計測値が表示されませんでした。原因が分からず悩んでいると、その場にいた先輩がすぐに駆け付けて対応してくれました。おかげで問題を解決することができました。一人で抱え込まず、周囲を頼ることの大切さを実感しました」 と振り返る。このように、試行錯誤と支え合いを積み重ねるなかで、プロジェクトチームは互いの距離を縮めていった。年齢層は20代から70代までと幅広く、約30人にもなるチームであったが、現場では肩書き、年齢や経験年数を超えて自然な助け合いが育まれていた。「もちろん忙しくて大変でしたが、苦労を共有したからこそ、メンバー同士の絆も強くなった部分はあると思います」と魚井氏は話す。巨大な施設の建設と高度な品質管理が求められる医薬品工場という現場。その裏には、決して派手ではないが、一つひとつの困難に真摯に向き合い続けた“現場の総合力”があったのである。

#05 そして次の挑戦へ

技術力と組織力、キリンエンジニアリングの強み

高い専門性と複雑な工程が絡み合う医薬品工場の建設プロジェクトを完遂した今、メンバーそれぞれが感じているのは、自らの成長とキリンエンジニアリングという組織の特性である。廣島氏は、「最初(設計)から最後(試運転)まで一貫して関われたことが、自分にとっては大きな財産になった」と語る。工程の計画、現場との調整、バリデーションといった複数のフェーズを通じて、自らの判断で行動する機会が増えた。次の現場では、さらに早い段階から関わり、より俯瞰的な視点で仕事に向き合いたいという意欲も芽生えている。永久保氏にとっては、技術者としてだけでなくチームを導く存在としての成長を強く実感できた現場となった。コーディネーターとして教育指導や工程管理、顧客との交渉にも取り組む中で、冷静な判断力と現場をまとめるリーダーシップが養われていった。「困難な状況でも落ち着いて対応できるようになり、チームを導く立場としての意識も変わりました。自分の業務遂行力や問題解決力が、確実にレベルアップしたと感じています」と語る。そして魚井氏は、プロジェクトを通じて改めて感じたことがあるという。「この会社の良さは、“やりたい”と思った人がそれを実現できるチャンスがあることだと思います。今回も、チームそれぞれが自分の立ち位置で工夫し、よりよいプロジェクトとするために動いてくれました」。トップダウンではなく、一人ひとりが自分の頭で考え、自律的に動く文化こそが、キリンエンジニアリングの最大の強みだと語る。その上で魚井氏は、プロジェクトがもたらした社会的な意義にも触れる。「今回の新棟建設プロジェクトは、予算通り・工程通りに無事完了しました。医薬品の研究開発や生産体制の強化に直結する成果であり、自社やグループ会社の枠を超えて、社会全体への貢献につながったと実感しています。また、工事や資材を地元の会社に発注すること、新しい工場ができることにより新しい雇用場所が生まれることで、地域経済にも確かな好影響を与えられたと考えています」。

談笑する社員3名

この経験を経て、3人には次の目標も見えている。「基本計画の段階からプロジェクトに参画したい」、「建築と設備のすり合わせをより早い段階で担いたい」といった具体的な目標を示せるのは、今回の現場で培った“自信”があるからだ。技術力と組織力の両輪を備えたキリンエンジニアリングだからこそ、次のステージもまた、より大きな価値を生む挑戦となるはずだ。

TATEBAYASHIクリエイションセンター新設工事

ブルドックソース株式会社様

ブルドックソースグループ
TATEBAYASHIクリエイションセンター新設工事

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「おいしい」と「健康」をつくるチームだから叶う、その挑戦