
- 建築系エンジニア
建築の枠を越え、信頼される技術者へ。
広がり続ける挑戦のフィールド
プロジェクト本部
建築部
稲村 大輔
2019年入社


INTERVIEW
Q入社理由を教えてください。

限定的な領域から、建築全体を見渡せる幅広い領域へ
前職では、マンションや事務所ビルを中心とした建築構造設計を担当していました。特に老朽化した建物の耐震改修といった分野が中心で、構造設計の中でもさらに限定された領域を深掘りするスタイルでした。ただ、旧耐震基準の建物の多くは、法律で義務化されている耐震補強が済んでおり、ニーズそのものが減少していく可能性のある将来に不安を感じていました。また、業務範囲が限定的だった分、他領域と連携する機会がほとんどなかったことにも物足りなさを感じていました。そんな中で出会ったのが、キリンエンジニアリングです。設計と施工の両方に携わることができるところに魅力を感じました。自分が設計した建物がどのように施工され、最終的にどう活用されていくのか。建築の一連の流れに深く関わることで、より技術力が高まり視野も広がるのではないかと思いました。また、キリンエンジニアリングなら意匠、建築設備、建築電気などの前職では経験していなかった建築分野にも挑戦できそうだと感じて入社を決めました。
Q現在の仕事内容を教えてください。
止められない既存ライン、高騰するコスト。国策プロジェクトの建設に挑む日々
現在は、医薬品を製造する企業の新工場建設プロジェクトに携わっています。この工場は、コロナ禍で露わになった医薬品供給体制の課題を踏まえ、万が一のパンデミック発生時にも迅速にワクチン製造を行える体制を構築することを目的とした国策事業です。私はこのプロジェクトの基本設計段階から参画し、建物全体のレイアウト設計から、内装・外装の仕様検討、天井・壁・床といった構成要素の選定、建築基準法への適合確認など、設計全般に幅広く携わっています。課題はいくつかありますが、中でも工場全体を稼働させながら、新棟と既棟を接続することが大きなテーマです。既存工場内の配管や電気系統を把握した上での慎重な設計・施工計画、稼働中のラインを止めないための緻密なスケジュール調整が必要です。さらに近年は建設費の高騰も課題の一つで、限られた予算の中で設計・仕様をどこまで最適化できるかといった視点も不可欠です。大変ではありますが、コスト・機能・安全性のバランスを取りながら、チームと密に連携し、現場やお客様と認識を合わせていくプロセスに、大きなやりがいを感じています。
Q印象的なエピソードを教えてください。
現場に出て初めて気づいた、設計の“その先”にあるもの
特に成長を実感できたのは山口県のある医薬工場建設プロジェクトです。現場を任されていた前任者が離れることになり、私がその後任になりました。それまで現場管理の経験がなく、設計と施工を並行して担うという初めての挑戦でした。不安はありましたが、安全管理の基本や協力会社との調整、作業手順の把握、工程の進捗管理など、実務を通して一つずつ覚えていきました。現場の動きをリアルタイムで見る中で、設計したものがどのように“形になるか”を自分の肌で感じられたことは大きな収穫でした。施工側の視点や段取りを理解することで、「こう描けば施工しやすい」「ここは詳細まで設計図で表現しないと施工できない」といった気づきが得られ、その後の設計業務に大きく活かされています。また、現場では社内外問わず多くの人と関わる機会があり、人脈も広がりました。工事完了後の打ち上げではチームで達成感を分かち合うことができ、「設計も施工も一緒につくる仕事なのだ」と改めて実感しました。自分にとって大きな転機になったと思っています。

Q今後の目標を教えてください。

意匠から設備まで。領域を越えて応えられる人に
これまで私は、主に意匠設計を中心に経験を積んできましたが、今後は空調・給排水衛生・電気といった建築設備の分野にも積極的に挑戦していきたいと考えています。特にプラントエンジニアリングのように、建物だけでなくその中で稼働する生産設備やインフラ全体と向き合う仕事では、幅広い技術知識が求められます。だからこそ、建築の枠を超えて周辺領域も学び、自分の引き出しを増やしていきたいという思いが強くなっています。その一環として、設備設計一級建築士の取得も目指しています。資格試験の講習会費や受験料といった費用を会社が負担してくれる制度があるのも大きな支えです。受験料だけでも高額ですが、「成長したい」という気持ちにしっかり応えてくれる環境があることは、非常に心強いです。これからも日々の仕事を通じて学びを積み重ねながら、設計の幅を広げていきたいと考えています。そして「この件は稲村に相談すればなんとかなる」と思ってもらえるような、信頼される技術者を目指していきます。